2012年02月10日

おおナイルよ この地よりいで エジプトを生かさん

おお ナイルよ

この地よりいで
エジプトを生かさんがために
来たれるもの

今から400年前に作られた一編の詩・・・。
「ナイル賛歌」

人類に文明をもたらした、大河ナイルに感謝を捧げる。いわば祝詞です。

榎木孝明さんが、この歌と共にエジプト・ナイルを旅した古代紀行です。
地中海に面したデルタ地帯から、ナイルを遡ります。

おおナイルよ
魚どもの主にして 水鳥を上流に のぼらしむるもの
大麦をつくり 小麦を造りしかれ
汝 支配者の都市に 増水するとき
人々は牧場の 良き産物に満足す
おお 小さき蓮の花
地上に流れいずる すべてのもの
冥界にはいりて 上方に現れいで
神秘として現るるを 愛するものよ


この川の水はどこから来たのか?
なぜこの川は文明を生んだのか?
文明とは、自然とは何なのか?
私とは何者なのか?

水源である天空の湖、4000キロをこえる遥かなる旅。


人々は竪琴にて 汝のために歌い
手もて汝のために歌う
おお 九柱神を支える 全ての人々よ
万物の主なる 彼の息子が
両岸を縁となして つくりし威厳を怖れよ

おおナイルよ

この地よりいで
エジプトを生かさんがために 
来たれるもの


エジプトには、神秘の力がある、その懐かしい響き・・・。

河口から100キロにある混沌の都、カイロ。
その昔、毎年ある季節には水浸しになっていました。
水は、ピラミッドのすぐそばまで来ていました。

ピラミッドに迫る水は、どこから来ていたのでしょうか?

ナイル川?は、9キロも離れています。毎年、そんなにナイルはあふれたのでしょうか?
増水の謎を解くためにまずは下流へ・・・。

そこは、ナイルデルタ。河口に広がる巨大な三角州で、緑豊かな穀倉地帯です。
このデルタ地帯から下流のほうまで、昔はナイルに飲み込まれていました。
ナイルの増水は、毎日少しずつ増えて・・・最後には何もかも飲み込まれてしまう。
そうして水が変わる・・・真っ黒に。

ナイルの増水は、毎年7月にやってきた。水は10倍になり、沢山の農地が水に沈みました。
しかし、毎年の事なので、人々はナイルを良く知っていました。
そこで、小高い丘に集まるようにして家を建てて住んでいました。

水があふれている間は、魚を取って生活して、しかし、そのナイルは、畑にとても良い土を恵みとしてもたらしてくれました。増水の度に、新しい恵みの豊穣の土を運んできてくれたのです。

しかし、ダムが上流に出来てしまった今、肥料をあげたり、土地を休ませなければならなくなってしまいました。昔はずっと良かった。

それは、1902年アスワンダム、1970年にはアスワンハイダムが作られました。これが、造られると、ナイルがやってくることはなくなりました。


この土は、どこからやってきたのでしょうか?

河口から700キロにある、古代の聖なる都・ルクソール。

神殿には、「ケメト」と書かれてあります。それはエジプトのことです。そして、「黒い土地」という意味でもありました。

エジプトの殆どは砂漠です。砂漠のことは「赤い土地」砂漠の向こうに忽然とできた「黒い土地」、この土地で、人々が暮らし始めました。
ナイルがエジプト文明を作りました。だからこそ、偉大な歴史家ヘロドトスは「エジプトはナイルのたまもの ナイルは全てのエジプト人への贈り物だ」と言ったのです。

しかし、エジプト人は、雨を見たことがありません。なのに、ナイルは増水したのです。
だから、古代エジプト人は、なぜナイルが増水するのか解りませんでした。これこそが、ナイルの神秘・神々の仕業だったのです。


魚どもの主にして 水鳥を上流に のぼらしむるもの
神殿の典礼を 維持させんがために
大麦をつくり 小麦を創りしかれ
汝の子孫は 汝に歓呼し
人々は王として 汝を迎う

法を揺るがすことなく その季節に現れ
上下エジプトを みたす王として
水飲まるるたびに 全ての眼注がる
その良きものを 惜しみなく与うるかれに

汝 支配者の都市に 増水するとき
人々は牧場の 良き産物に満足す

おお 小さき蓮の花
地上に流れいずる すべてのもの

子供たちの手中にある
あらゆる種類の薬草よ

彼ら食べることさえ 忘れたり
よきものは 家々の まわりにふりまかれ
国土は遊び たわむれつつ下らん


ルクソール西岸には、紀元前14世紀につくられた、メンナという貴族の墓があります。
壁一面の壁画が。。。そこには、春夏秋冬、ナイルが氾濫し、人々が畑を耕し、種を撒き、収穫し、小麦を作っている様が描かれていました。

縄と手帳を使って、測量をしている人々も映っています。測量は、ナイルがもたらした副産物でした。
おかげで数学も発達。黒い土は、科学技術をももたらしました。

メンナの墓の近くにある「ラムセス3世葬祭殿」、紀元前12世紀に建てられたものです。
これを創りだしたのも、ナイルの神秘です。


この神殿の奥に、ナイルの神が祭られています。
頭に蓮の飾りを付けた「ハピ」です。

増水の神「ハピ」の生まれ出地は、ここから200キロ上流。

河口から900キロにあるアスワン、古代から交易拠点として栄えてきた町です。
「ハピ」神が生まれる伝説の地へと向かいます。
ナイルが渦巻いてきています。まるで水が湧いてきているようです。

ここが、古代人の考えたナイルの水源でした。
ナイルはここから始まると信じらてきました。
ここが、ハピの生まれた聖地とされていました。

この近くにある中州・サーヒル島には、人々の祈りの跡がありました。
ラムセス2世のレリーフ。。。下流からやってきた人々の祈りが、石に刻まれています。

「飢餓の碑」には、ジュセル王というファラオの治世に、ハピ神のやってこない飢饉が7年も起きたので、
王自らが祈りを捧げたと書かれています。すると、ハピ神がやってきて、雨をもたらしてくれ、大地が復活した。と。。。

ファラオも、人々も、ナイルに祈りを捧げました。この歌が、「ナイル賛歌」なのです。

おおナイルよ
この地よりいで エジプトを生かさんがため 来たれるもの
その顕現の姿 隠されてあり 日中は暗黒

詩人そのために歌う
何人もその秘密を読めず
何人もかれの 居るところを知らず
文字の力によりても 見いだされることなし

かれもし弱ければ 鼻孔は塞がれ
全ての人は貧し
かくて神々の食物 乏しくならば
百万人 生者のうちより滅びん

彼立てば 国土は歓喜にあふれ
全ての腹は 喜びにみち
すべての背骨は大笑し
全ての歯は あらわれん


聖地・伝説の地の近くでは、ナイルの増水が止められています。
それが、アスワンハイダムです。

これが出来てから、増水がなくなりました。
膨大な電力と引き換えに、人々の暮らしが変わっていきました。

ダムの南には、巨大な人造湖。その先には、数百キロのナイルの道がまだあるのです。
世界で一番長い川ナイル、それは、白ナイルと青ナイルに分かれています。

河口から2900キロ、スーダンの首都・ハルツームでこの二本が合流しています。
ここに黒い土があるのでしょうか?

白ナイルの水の量は、年を通じて変わりません。しかし、青ナイル、こちらは10倍にもなる時があるといいます。

エチオピアの首都、アジスアベバへ。

しかし、青ナイルを目指すのは、とても困難、山は高く、谷は険しい。
川の流れは速く、大量の水が押し寄せます。ナイルワニが数多く生息している魔境・青ナイル。

3つの石橋を訪ねるとその秘密がわかるといいます。

河口から4150キロ、第1の石橋の近くにやってくると、そこは深い霧に包まれています。
山淵を歩いていくと、青ナイルの支流にかかる第1の石橋が。
およそ300年前に架けられたというその橋。実際の生活にもまだ使われています。
その近くにある滝。

その滝の水は、茶色く濁っていました。1年中同じ姿ではなく、水がほとんど流れていない時もあるといいます。今は、雨季に入っていたのです。
エチオピア高原の大自然の魔術が、あちこちで見受けられます。
エチオピアでは、6月から9月までの雨期、毎日のように雨が降るそうです。これが、はるか下流で洪水を起こしているのです。

河口から4300キロ 第2の石橋、そこは、青ナイル峡谷の近くにありました。

目指す青ナイルは車では行けません。3日間、ラバにお世話になります。
切り立った崖の下の大峡谷、深さは1000mを超える、アフリカのグランドキャニオンです。

谷底の村で1泊し、再び青ナイルを目指します。
豪雨で道が流されていたり、落石が道をふさぎます。ひたすら歩きます。

そしてやってきた青ナイル・第2の橋、そこにはチョコレート色の激しい流れが轟音と共にありました。
エジプトの青いナイルとは全く別のものでした。

そしてここも、雨期の為、水かさが増し、スピードも、水の色も黒いものでした。真っ黒な水。。。
黒い土は、近くにある!!

向こう岸は、更に激しく危険な道。断崖を登ると、そこには楽園が広がっていました。

楽園聖母村
桃源郷のような村が出現しました。
天空の畑の広がる台地。
その井戸にある水は・・・きれいな美味しい水。
まさに別世界でした。

そこで耕している土。肥沃な粘土質の黒い土。まさしくナイルデルタの土でした。
雨が降ると、土が流れ出して峡谷をつくっていたのです。
そして、土はここから流れていって、青ナイルへと入り、石橋を通る。スーダンへ、エジプトへと行くのです。
大峡谷を駆け抜けて・・・。1か月という時間をかけて、4000キロも離れたエジプトへ・・・。


河口から4350キロ、第3の石橋。


なぜ黒い土があるのでしょうか?この第3の石橋の近くには、玄武岩が・・・。この玄武岩が雨や風にさらされて、黒い土となっているのです。エチオピア高原は、厚さ数百メートルの玄武岩から出来ています。

エチオピアを含むアフリカは、6500万年前海に沈んでいました。
今、目にしている高原や山は、3000万年前に隆起したものなのです。

大地溝帯と高原が出来ました。今もマグマを出しています。このマグマが風化して、玄武岩となったのです。

青ナイルがタナ湖から流れ出すようになったのは、1万5000年前です。その流れは、増えたり減ったりしました。
増えた時、エジプト文明が繁栄し、減った時に衰退したのです。
実に壮大な物語です。

第3の橋の近くに、ナイル最大の滝がありました。
ティシサット滝、この滝も、乾季の時は小さくなります。しかし雨期になると、大量の水と土を流してくれるのです。その滝は、チョコレート色、まるで土そのものを流しているようでした。

悲しみにありしもの 晴れやかに現わる
全ての心晴れやかなり

ネイトの子セベクは笑い
汝 その一柱なる 九柱心は讃えらる

吐きいだして 田畑に水飲ませ
全国土に塗油して
ある人は富ませ ある人は斬殺す

されど彼に対し 裁判のなされることなし
かれ思いのままに満足し
かれに対し 境界の定められることなし

暗黒より現れて 光をつくるもの
その家畜のための脂肪
かれの限界は 想像されしものすべてなり
かれなくして 生きうる地方はなし

冥界にはいりて 上方に現れいで
神秘として現るるを 愛するものよ


河口から4400キロ、ナイルの始まり、タナ湖。
2週間の旅の終わりです。琵琶湖の5倍の広さがあるといわれています。

豊かな自然をもつ聖なる湖。そこには、20を超える修道院があります。
はるか下流のエジプトから伝わった祈り。

古代エジプト人も、今のエチオピア人も、聖なる水に祈りを捧げていました。


おおナイルよ
この地よりいで エジプトを生かさんがため 来たれるもの

人々は竪琴をもて 汝のために歌い
手もて汝のために歌う

ナイルの増水するとき
汝のために 鳥は太らされ
砂漠に獅子が狩られ
火が準備される

おお九柱神を支える すべての人々よ
万物の主なる かれの息子が
両岸を縁となして つくりし威厳を怖れよ
汝は緑なり

おおナイルよ 汝は緑なり
人と家畜と地の獣を 生かしむるものよ
汝は 緑なり

汝は 緑なり


やっぱり、エジプトは神秘的です。黒ハート何とも壮大な番組でした。

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posted by ちゃーちゃん at 12:23| Comment(0) | テレビ番組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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