2012年01月12日

サヨナラ、幸せは私には必要ない〜太地喜和子〜

邦画を彩った女優たち・「サヨナラ 幸せは私には必要でない〜太地喜和子〜」です。

太地喜和子さん、妖艶なイメージの女優さんですが、私はお子様だったので、見てはいけない女優さんのようなイメージがありました。


48歳でこの世を去った女優、太地喜和子。コミカルな立ち居振る舞いとにおい立つような妖艶さ・・・。芝居にかける情熱は、他の人を圧倒し、ずば抜けていました。その存在は、他をも翻弄すると同時に、自分自身をも脚色していきました。

第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け HDリマスター版 [DVD] / 渥美清, 太地喜和子, 倍賞千恵子, 宇野重吉, 前田吟 (出演); 山田洋次 (監督)
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「世間的な幸せは、私には必要ではない」現実と虚構の中に生きた女優でした。本当の姿はどこにあるのでしょうか?

1992年10月13日、太地喜和子は、車ごと海に転落・・・。死の直前まで舞台「唐人お吉」に立っていました。その48歳の死は、あまりにも謎が多いものの、それは、喜和子らしくて美しい・・・。といわれています。

15歳で女優をめざし、東映のニューフェースに。
高校卒業と同時に東映を辞め、俳優養成所に入ります。それは、役者の基礎をやり直すためでした。同期には、前田吟、村井国夫がいます。

太地喜和子は、求心力が強く、秘めた思い、感性が体からほとばしっていました。

19歳で恋に落ちます。相手は、21歳年上の三國連太郎でした。三國連太郎は、老け役のために歯を10本抜くという、逸話のある役者でした。しかし、妻子のある人でした。

三國連太郎は語っています。「いろんな女優さんと噂がありましたが、付き合ったのは、太地喜和子さんだけです。」

恋に落ちた太地は、俳優座養成所からいなくなります。彼女は、北海道の三國の元へ・・・。三國は「飢餓海峡」を撮影していました。この飢餓海峡は、貧しい戦後の男と女の本質を描いた映画です。

飢餓海峡飢餓海峡

飢餓海峡(改訂決定版) 上 [単行本] / 水上 勉 (著); 河出書房新社 (刊)飢餓海峡(改訂決定版) 上 [単行本] / 水上 勉 (著); 河出書房新社 (刊)
飢餓海峡(改訂決定版) 下 [単行本] / 水上 勉 (著); 河出書房新社 (刊)飢餓海峡(改訂決定版) 下 [単行本] / 水上 勉 (著); 河出書房新社 (刊)

映画を撮り出すと役に入ってしまう三國連太郎・・・。喜和子は飢餓海峡の「杉戸八重」に嫉妬します。彼女が、桁外れの感性を持っていたのは周知の事実でした。

杉戸八重に嫉妬を感じながら、一人東京に帰る太地。「もう決して三國に会うまい」と、心に誓います。

俳優養成所に戻った喜和子は、
芝居には、失望させられることはない。
女優として生きることに迷いはない。
と、決心します。

文学座に入ることにした喜和子。審査員は、自由奔放で魅力的と感じます。
新藤兼人監督が、「藪の中の黒猫」に抜擢します。これは、化け猫となって復讐する若妻の役でした。男たちを翻弄する化け猫を。
藪の中の黒猫 [DVD] / 中村吉右衛門, 乙羽信子, 太地喜和子 (出演); 新藤兼人 (監督)
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喜和子は20代最後に舞台で「飢餓海峡」の杉戸八重を演じます。原作者の水上勉が「見事に肉付けされている」と、絶賛しました。彼女の演技は、役を演じるというよりも、自分の喜び、苦しみ、憎しみを取り入れているという感じでした。

後に、三國連太郎と対談しています。

「犬飼多吉を三國さんがやってて、とても悲しそうな顔をして帰ってくる。私は杉戸八重にものすごい嫉妬を感じたわ。それを十年後、あたしがその杉戸八重を舞台でやることになったので、何か因縁のような感じがしたわ。」

「すごく好評だったようですね、あなたの舞台は。」

「セリフの中に”十年前あたしにとても優しくしてくれたひげぼうぼうぼ大きい人」っていうのがあったの。とても複雑な感じでした。でも、お芝居やっていて良かったな、と、その時思いました。
”芝居というものは、人から教えられるもんじゃない”って言われた。三國さんがいうことみんな信じちゃ手たから。」
「今まで教えられて演じたことありますか」
「ない。だから、そうだなと思っているの。いまだに。」

笑顔の影の悲しみ、静かに燃える情念、太地喜和子の存在は、圧倒的でした。


しかし、人間太地喜和子は人々を翻弄する。自らを脚色する。本当は、サラリーマンの一人っ子だったのに、戦災孤児だったとか、太地家に連れ子として入ったとか・・・。

自分の生き方、感性から、戦災孤児だと思い込ませていたようです。自分の中に孤独を育てていきました。寂しさを逃れるための生き方が、作家・小説家のように嘘をつく・・・。


「喜劇 男の泣きどころ」では、ストリッパーを演じます。自分にストリッパーを取り込んだこの映画は、好評を博します。カメラが回っていても、それが自分か演技かわからない。。。。常に演技のような喜和子。

その女優であることが、本当の自分でした。だからこそ、人生は重い。。。

30歳の時、歌舞伎界のプリンスと恋に落ちます。それは、12歳も年下の人でした。なんでも命がけの喜和子、真剣に結婚・出産を考えます。

子供を持つという選択・・・。

しかし、名門の御曹司、多くの壁があって、二人で心中することまで考えます。

そんな場所には安住したくはない。。。結局サヨナラをします。世間的な幸せは、私には必要ない。

「近松心中物語」で、うめがわを演じることになります。
自分と重なって見えた喜和子の演技は、心中するほど惚れているという表現へと変わっていきます。できるのは太地のみ。

しかし、命を懸けて演じているのにお客はしゃべったり、遅れてきたりする・・・。喜和子は命をすり減らして役と自分のはざまで生きていました。

40歳を超えると、こよなく酒を愛し、エディット・ピアフを愛しました。

そんな喜和子がたどりついたのが、「唐人お吉物語」これがあ、彼女にとって最後の作品となります。
お吉は、元芸者のアメリカの総領事の妾、噂され、人々から蔑まれます。お吉は懸命に生きますが、酒におぼれ最後には川に身を投げます。

お吉への異常なほどの入れ込みは、周りの人はかわいそうで見ていられなかったといいます。実は、緑内障で医者からあと2,3年で失明するといわれていました。しかし、それは誰にも打ち明けませんでした。

酒におぼれ、心身ともに病んでいくお吉・・・失明の恐怖と闘いながら演じました。それは、あまりにも悲惨で、凄惨で、息苦しい芝居・・・喜和子はお吉になりすぎてしまいました。

10月12日、静岡県伊東市、次はお吉のふるさと下田での公演でした。が、その夜事故が起こりました。仲間と一緒に海を見に行き車ごと海へ・・・。お吉と同じ、48歳で水死という最期でした。

太地喜和子はサヨナラを言わずに伝説となってしまいました。

喜和子の一生は喜和子らしい。残酷だが美しい一生でした。

太地喜和子伝説 [単行本] / 大下 英治 (著); 河出書房新社 (刊)太地喜和子伝説 [単行本] / 大下 英治 (著); 河出書房新社 (刊)

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posted by ちゃーちゃん at 15:05| Comment(0) | テレビ番組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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